『ホステス』を勤めなくっちゃ!
「ねぇキャロライン、私たち『仲間』になったのよ、でね、私たち『若者』は、『年上の方』を大事しなくっちゃね、今日ははじめての『仲間』の会合なのよ、私たちでルナパークをご案内しなくっちゃ!」
「そうよね、私たちは『ゲスト』を招待しているのだから、立派に『ホステス』を勤めなくっちゃ!」
聞いていた、いわゆる『ゲスト』の二人は苦笑するばかり。
「申し訳ありません、キャロラインまで……『見なしメイド』となっているのに……」
「別にかまわないじゃあないですか、キャロラインさんもまだ子供ということでしょう、可愛いではありませんか」
「……」
二人の『ホステス』さんが、
「ねぇ、観覧車に乗りませんか?まずは全体を知り、次の計画を立てなくては」
などといい、二人の手をとりました。
「大人、子供、二人ずつ」
と、学校から配布されたチケットを、乗り場の係員に渡している二人。
もともとこの遊園地は、マルス移住のおり、近くにあったものを全て一つの施設として再構成したもの。
有名な木造ジェットコースターのサイクロンと、この大観覧車は歴史的な建造物として指定されて、その関係でそっくりそのままの複製が作られているのです。
アメリカ地域のニューイーグル市から委託された、ニュールナパーク社が運営している三代目のルナパーク。
当然のように、ホットドッグで有名なネイサンズも移住してきて、ここに本店を置いています。
大観覧車に乗りこみます。
キャロラインは久しぶりに、セシリーと二人だけ、二人とも怖がるなんて事はありません。
「ねぇ、おばあさま、私、立派なウイッチになれるかしら?」
「なれるわよ、貴女は私の孫なのよ、どうしたの、なりたくないの?」
「だって……私時々おばあさま以外のウイッチの方を見かけるの……皆さん、とても賢そうで……それにとても綺麗なの……私もジリアンぐらい綺麗なら……ジリアン、一般課程なのに……」
要は容姿でも賢さでも、ジリアンに劣る自分が、ウイッチなどになれるのか、急に不安になったようです。
たしかにジリアンは美少女ではありますが、キャロラインのロリータ課程在籍生徒というのは、だてではないのです。
たぶんキャロラインのほうが、美女になるはずです。
メイドハウスの入学身体検査は、半端なものではありません。
たしかに利発という点では、ジリアンは頭一つ抜けているようには感じられます。
「私が思うに、容姿なら圧倒的に貴女が綺麗になるはずよ、ロリータ課程の入学検査は、そりゃぁ大したものなのよ」
「でもいうように、利発という点なら、ジリアンのほうが上かもしれないわね」
「でもウイッチに要求される賢さとは、思慮分別なの、まだ貴女には難しいけど、人としてのやさしさや思いやり、そして臨機応用に事を処理する力、なにより嘘と裏切りと嫉妬は厳禁なのよ」
「貴女はいま、その分かれ目に立っているのかもしれないわね」
「他人の長所を見抜く力はウイッチには必要、でもそれを自分と比較して、落ち込むのはよろしくないわ」
「むしろ他人の長所は取り込むべきなのよ、それが出来ればウイッチよ」
さすがに教育学者のセシリーさん、いい事をいいますが、小学生には難しすぎるのではありませんかね、でも……
「分かったわ、人のいいところを見て、自分も真似すればいいのね!」
「そうよ、でも、貴女は貴女、自分を見失わないようにね、他人になっても仕方ないのよ」
だからセシリーさん、固いですよ。
でもキャロライン、深くは考えていないようで、敬愛する祖母のセシリーに『悩み』?を相談でき、返事をもらったことに、満足したようなのです。
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