ホットドッグしか作れない!


 遠足当日、キャロラインたちはベーグルサンドを計画、なんとベーグルを、自ら焼き上げるという壮大な計画でしたが、料理の下準備で大失敗。

 仕方ないのでパンケーキを考えたのですが、先生のアドバイスで試作してみると、これが難しい……


 結局、パンを自ら作ることは断念、サンドイッチにしようとするのですが、これまた無茶なチキンサンドなどを考えたものですから、チキンを真っ黒にしてしまい、結局断念。


 挙句の果てに、ゆで卵もまともに出来ないことが判明、どうもサンドイッチも危ういようです。

 見ていると、キュウリもトマトも、まともに切れていません。


 先生、頭を抱えていましたが、なにか思い当たったようで、

「ホットドッグにしましょう!」といったのです。


「ホットドッグ?」

「ロールパンは市販のもので我慢してね、大人になればパンが焼けるようになるでしょう……きっとね……」


「中に挟むのは、フランクフルトとレタス、レタスは手でちぎるほうがおいしいのよ、フランクフルトは、これは私たちでは作れないから、市販のものにするしかないわね」


「茹でて切れ目を入れて、オーブントースターで焼くのよ、マスタードはお好みでね、具を冷まして挟めばOKよ」


 先生は、時間がないので、買出しに行ってくれました。


「ねぇ、私たちお料理は下手なのね……」

「そうね、先生、私たちがあまりに下手なので、ホットドッグを選んでくれたようね……」

「私たち、ホットドッグしか作れない女なのね……へこむわ……」


 本当は、フランクフルトはフライパンで焼くほうがおいしいのでしょうが、それさえ危険と、判断されたのでしょう。

 

「でも、いくら私たちでも、ホットドッグは作れるわ♪先生のお墨付きだもの♪」

「そうね♪この後は明日の準備をしなくてはね♪明日がんばって、ホットドッグを作りましょうね♪」

 立ち直りが早いのが、この年頃なのでしょうね。


 翌日、朝からランチを作り始めます。

 皆それぞれ苦戦しているようですが、中にはジャンバラヤなど、凝ったものを作っているペアも、まぁサンドイッチ組がおおいですね、でも……


 キャロラインたちのホットドッグは……

「ギャー、ジリアン!!!爆発したわ!!!」

 フランクフルトに、切れ目を入れずに焼いたようです。


 二回目は真っ黒に……

 三回目にちょっとばかり焦げたような、それでも何とか、食べられそうなソーセージに仕上がりました。


「出来た!」


「そんなことより、早くパンに挟まなくっちゃ、皆出来て私たちが最後よ!」

 二人は急いでパンに切れ目をいれ、スプレッドを塗り、ケチャップなどをかけてましたね。


 グランドには生徒が集合、皆大きなリュックを背負っています。

 そりゃあね、一人で二食分のランチと、結構なお菓子が詰まっていますからね。


 全員で、ニューイーグルを網の目のように走る路面電車に乗り、コニーアイランド地区へ。

 小学校といえど、ベティ女子スクール付属小学校ですから、とにかく注目を浴びます。


 さすがに女の子の集団、まして行き先がルナパーク、それなりに騒がしく、先生は大変そうですね。

 開園は十時、とりあえずゲート前で、ゲストと合流することになっています。


 今日は快晴、したがってランチは園内の好きな場所で取ることになっており、四時に出口前に集合。

 ゲストとここで別れて、学校へ帰ることになっています。

 帰りはバスが迎えに来る手はずです。


 事前に配布されている、パンフレットと行動予定表、そして乗り物チケット、ルナパークにはフリーチケットもありますが、生徒たちの自主性と計画性を育てる教育的配慮により、少ない目のチケットが、学校より支給されているのです。


 これはゲストも一緒に乗るために、大人用も生徒たちに支給されています、つまり本日は、生徒たちは小さいホステスさんというわけです。


 ゲートの前では、ゲストが待っていてくれます。

 パパも来ているようです、一応、父兄に限っては黙認ということになっています。

 やはり幼い子供さんたちなのでね。


「キャロライン!」

 セシリー・ノウルズが、目ざとくキャロラインを見つけたようです。

「おばあさま!」

 おばあさまと呼ばれたセシリーですが、どう見ても三十手前のように見えます。


 そのあたりのゲストとは、別物のような美しさ、周りの人は当然と思っているようです。

 なんといっても、チョーカーが輝いているのです。

 

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