アマテラスの休暇


 すこし時間を遡って、ベティ女子スクール付属小学校の遠足、そのランチの招待状が、アメリカメイドハウスに届いた頃、アマテラスはマルスのアマゾネス婦人戦闘団の視察にやってきていて、『ベティー・ボート』に泊まっていたのです。


 相手をしていたのが、アリシア・デヴィッドソン。

「視察、ご苦労さまです、この後、休暇とか聞きましたが?」


「別に不要なのですが、ヴィーナス様が、ゆっくりしなさいとおっしゃって、このまま『ベティー・ボート』に、お世話になろうかなと思っています」

「予定はないのですか?」


「別に取り立ててはありません、私はこのようなことは初めてでして、休暇の過ごし方など知らないのです」

 くすくす笑ったアリシアさん、


「プラネテスを率いる、最強戦士のアマテラス様も休暇は未経験なのですね」

「はじめての経験は、誰かに導いてもらわねば分からない、ということです」

 さらに笑ったアリシアさんでした。


「では一つ、暇つぶしに私に協力してくれませんか?」

「かまいませんが、なにをするのですか?」

 

「もうすぐ、アメリカメイドハウス管轄の、ベティ女子スクール付属小学校の、四回生の遠足があるのです」

「その日は生徒たちと一緒に、女親などが同行することになっています」


「一応、生徒から招待状が届き、それに返事を出すことになっています、でも中には、出したくても出せない生徒もいるのです」


「ベティ女子スクール付属小学校は無料で、寄宿舎も完備していますので、親のいない優秀な子供さんたちも、在学しているのです」


「そのような子は、アメリカメイドハウスに招待状をだし、メイドたちのだれかが、親代わりとして参加するきまりです」

「どうです、一つアマテラス様も、人類の小さな娘さんの、一日保護者になってくれませんか?」

 

「私が?向いていないと思うが?」

「たぶんセシリー・ノウルズも参加されるでしょう、お孫さんも参加するので、なにかあっても、彼女が何とかしてくれますよ」

 

 こんな話があり、アマテラスはアリシアに押し切られ、最後に残っていた招待状に、自分の名を書いたわけです。


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