招待状の返事


 これが毎年大騒動になるのです。

 まず前日の朝からペア分けして、午前中にメニューを決め、午後から買出し、そして料理の下準備。

 そしてこの日は遠足のために、早めに授業が終わります。

 翌日朝早くから、ランチを作り始めるのです。


 これは自分たちのものと、ゲストのためと二食作ります。

 そして各児童はゲストを一人呼び、提供するのです。

 皆さん、概ね母親を呼びますが、姉の場合もあれば、上級生、恩師など多士済々、ベティの女子児童は、結構無謀なことをするのです。


 一度ナーキッド・オーナーを指名した娘がいましたが、さすがに学校があわてました。

 ミコさん、気軽に出席して、児童の作った不ぞろいのサンドイッチなどを食べていました。


 このお陰で、関係者を呼ぶということになったのです。

 とにかく、一週間前に招待状をだすのです。

 

 女親がいない、相手の都合がつかない、という児童もいます。

 このような場合は、アメリカメイドハウスの誰かが、招待状を受けることになっています。


 こういうときは、ウイッチは『くじ引き』と決まっています。

 案外にこのときの縁で、姉が出来た児童もいたりします。


 明日のランチのメニューを二人で決め、のんびりとランチを食堂で食べているとき、ペアの相手、ジリアン・フェネリーが声をかけてきました。


「ねぇ、キャロライン、貴女は誰を呼ぶの?」

「おばあさまよ♪ジリアンは?」

「私、呼ぶ相手がいないの……だからアメリカメイドハウスに招待状を出したの……やっと昨日返事が来たわ、これよ、この方、知っている?」


 それには、『喜んで出席させていただきます、アマテラス』とありました。


「アマテラス……?この方、アメリカメイドハウスにおられたかしら、それに少なくとも、アメリカの方の名前ではないわ……おばあさまに聞いてみるわ」

 祖母のセシリー・ノウルズは、明日のためにニューイーグルへ帰ってきているのです。

 その為、普通の携帯電話がつながるのです。


「おばあさま、キャロラインよ、明日は来てくれるのでしょう?」

「ところでお友達のジリアンがね、アメリカメイドハウスに招待状を出したの、すると返事が来てね、アマテラスという方なの」


「そんな方、アメリカメイドハウスにおられないのではと思って、おばあさまなら、知っているかも知れないと思って……えっっっっ!……」

 ここで急に声のトーンを落とした、キャロラインでした。

 

「ジリアン、アマテラスという方は、確かにウイッチなのだけど……私はロリータ課程生徒だから教えていただけたけど、知ってのとおり、守秘義務があって喋れないのよ」


「ただね、いえることは相当にお綺麗で、かなり上の方で、軍人さんなの、これ以上はいえないわ」


「そうなの、でもウイッチさんなのね♪私、誰でもいいから一度、ウイッチさんとお話してみたかったの、それで貴女のおばあさまにも会えるかなと、楽しみにしていたのよ♪」


「アマテラス様って軍人さんなの?ミリタリーの方なのね、私ミリタリーの方って見たこともないわ、きっと凛々しい方なのでしょうね♪」

「私のお姉さまになってくださるかしら……私一人っ子だから、お姉さまにあこがれているの♪」


 ……私だってあって見たいわ……だって佳人待遇夫人なのだから…… 


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