第六章 キャロラインの物語 ホットドッグはお好き?

遠足前夜


 キャロライン・ノウルズは、ベティ女子スクール付属小学校のロリータ課程の四回生。

 母親は内縁のまま夫が死亡、その母もキャロライン・ノウルズが五歳の時に死亡している。


 高名な教育学者である、祖母のセシリー・ノウルズに育てられているが、祖母はとても忙しいので、小学校といえど寄宿舎がある、ベティ女子スクール付属小学校の、ロリータ課程を選ばざる得なかった。


 ロリータ課程に受かる以上は、折り紙つきの美少女である。

 ベティ女子スクール付属小学校にも、遠足などというものがあり、今回は遊園地のようで……


     * * * * *


 ベティ女子スクール付属小学校。

 八年制高女の一つでもある、ベティ女子スクールの付属として、アメリカ地区で唯一のロリータ課程がある小学校。

 アメリカの学制とは違い、八年制高女共通のスケジュールで運営されています。


 無料ですがかなりの難関、そのままベティ女子スクールへ進学できます。

 特にロリータ課程は、そのままメイド任官課程に無試験で進学、ウイッチには確実になれます。


 そのため極めて入学定員は少なく、一学年一クラス、クラス定員は十五名、そのうちロリータ課程は五名となっています。


 入学するにはまず学力検査、徹底的に身体検査、この身体検査ははっきりといえば、将来美人になるのかどうか。


 そして性格検査、これはヒステリーではとてもウイッチは勤まらない。

 幼少時の採用ですから、このような行き過ぎのような検査をするのです。


 なによりこのロリータ課程は、合格したらリングが支給されます。

 小さいシルバーリングですが、左小指につけるのが決まり、そしてささやかな防御魔法が、所有者を守るのです。

 

 しかしキャロラインがつけているのは、少しばかり違うのです。

 左小指につけているリングは、奨学生がつけるリングで、しかもブラックゴールドのラインが象嵌されています。


 我妹子(わぎもこ)証文に自署し、提出しているキャロラインは、生徒ではありますが、『見做しメイド』と呼ばれ、女官名簿に名前が記載されています。


 『見做しメイド』とは就学猶予清女、末女ではないのです。

 滅多にない『見做しメイド』、それもロリータ課程での我妹子(わぎもこ)証文受領は、破格の待遇といえます。


 祖母のセシリー・ノウルズが、パープル・ウィドウ・クラブの管理官公募に応募、管理官ではありませんでしたが、見事に採用となり、その時の条件ゆえに、キャロラインも我妹子(わぎもこ)証文に自署し、提出したのです。

 

 四回生になったキャロライン、待ちに待っていた『School excursion』つまり遠足が迫ってきたのです。


 そして今回の場所はニューイーグル、コニーアイランドに再建された遊園地、ルナパーク。

 お子様向けの楽しい遊園地で、ニューイーグルの子供たちには大人気の場所です。


 ベティの遠足は、アメリカの遠足とは少々違います。

 どこか日本の遠足に似ています。

 おやつはOK、ただしベティ女子スクール付属小学校が支給する金券で、買うことになります。


 概ね板チョコが三個買える程度ですが、児童が自主的に範囲内で買うのです。

 両親が買い与えるわけではないのですよ。


 一応お菓子の買出しには、担当教師が引率して、スーパーに買いに出かけます。


 ランチは自らが作ることになっています。

 明日のために、前日は料理実習……


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