コニーのレポート


「それにしても大したレポートね、この娘、一号生徒になれそうね、ベティのクイーン・ビーね」

「しかし結構新しい機械がいるわね、それに直轄工場の拡張も必要だし、総務RCTとの交渉はきついのよね……」


 景山響子は大きなため息をしましたが、

「それより、このレポートが広まれば、コニーは注目されるわね、任官したら争奪戦は確実ね」


「いまなら、ミコ様のお手つきが確実というだけで、能力は知られていない……唾をつけるのなら、今かもしれない」

「ミコ様にけしかけて、お手をつけていただいて、配属してもらおうかしら……」


「そうよね、これだけ優秀なら、非難を受けるぐらい、なんてことないわ、早い者勝ちなのよ!」

 


 通常メイドや女官は、任官すればハウスやハレムに籍を置き、そのまま配属、そしてネットワークなどの組織に転出していくのですが、中には任官後、ハウスやハレムに籍を置き、すぐに転出するものもあります。

 転出先が強く望んだ場合に、このようなことがあるのです。


 もし学生といえど、ミコに抱かれれば即座に任官、寵妃候補ですので、転出先が強く望めば、配属されることになります。

 景山響子はそれを狙っているのです。


 ただし名目上は配属されたとしても、実質は赴任するわけではないのですよ、なんせ学生ですからね。


「とにかくコニーが物資補給部を望まなければどうにもならない……まずは約束通り、黒字の1割を振り込みますか」


 その頃、アルバイト代でお洒落な服など買い込んでいるコニー。

「これでお洒落ができるわ♪」

「ママったらお小遣い、少ししかくれないものね、やっと友達に負けない服が買えるわ♪」

「でも買いすぎたかしら、バイト代、ほとんど残っていないわね」


 そんなところに、かなりのお金が振り込んでありました。

 報奨金とあります。


「あっ、黒字になったのね、これが1割ね、あまり儲からなかったのね、仕方ないわよね、直轄工場で製造する前提での値段で売ったのですから、報奨金が出ただけで良しよね」

「でも嬉しいわ♪これで靴が買えるもの、少しあまりそうだから、お洒落な下着もかっときましょう♪」


 こちらはニライカナイのある一室。

「ミコ様、『ステーション・フルタイム施設計画』によるマーキュリーステーション・フード・ショップのアンテナショップはうまくいきました」


「予想以上の成果です、コニーのおかげです、彼女は優秀です」

「さすがはミコ様のお眼鏡にかなった娘、感心しました、これがコニーが提出したレポートです」


「なるほどね、よく考えてありますね、とても女学生のレポートとは思えませんね」

「直轄工場で大量製造ですか、それに商品も絞ってあるし、なにより無駄がない」


「基本以外に、拡大オプションとして、現地の特産品の活用にも触れている」


「このビーフジャーキーには感心しました、ヴァンパイア族の為に、常備すべきと意見がついています」

「ビーフジャーキーを提供すれば、ヴァンパイア族は簡易造血装置を携帯しているので、新鮮血液に浸して食べれる……そこまで思い巡らすことが出来るのですね」


「ミコ様、コニー・アルバーンにご褒美をお願いします、本人にも、欲しいものがあるでしょうから」

「そうですね、なにか欲しいものがあれば、あげましょう、聞いてみて下さい」


 ……ミコ様、こんなところは素直よね、良いことは実行すべし、そのように信じているようですしね。

 さすがに私の元教え子ね、すこし気が引けるけどしかたないわね、あとはハウスキーパー事務局よね……


「ご本人とヴィーナス様のことです、この方は『女官扱い者』、その中でも極めて珍しい、パープルウイッチ指定関係者となっています」

「遅いか早いかだけで、事務局および百合の会議は承認済みです」

 

 ……言質を取った、これで事務局としては文句は言えまい、さてコニーはどう言うか……

 典型的なアメリカ娘、チャンスがあれば積極的に動くと思うけど、一度話してみますか……


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