質素な商品


 翌日、朝の十時からコッペハウスに出向き、材料の準備をして、十時半から『パント』のスイッチを入れます。

 マーガリンとジャムを用意し、十一時十分前に、インスタントコーヒーマシンのスイッチを入れます。


 ジャムはストロベリージャム、オレンジママレード、ブルーベリージャム、の三種類のみです。

 今回はマルス文化圏ですので、コッペパン仕様です。

 それにココアマシンもまだありません。


 十一時、コッペハウス『マーキュリーステーション店』は静かに開店しました。

 簡易宿泊施設のレストランは、昼は閉まっています。

 この時間に、ステーション構内で食事を出来るのは、ここしかないので、パラパラとお客さんがやってきました。


「新しい店か、何があるの、コッペパンとコーヒー?マーガリンか三種のジャムか?また質素な商品だな」

「毎日十一時に焼き上がる?えっ、五十円?コーヒーとマーガリンがついて?そらまた安いな、まぁちょっと試してみるか?」


 安さにつられ、ステーション構内で食べられる便利さも手伝い、結構売れています。

 コッペハウスで商品を買い、目の前の『ステーション・フルタイム施設計画』のテラスの、テーブルで食べることになります。


 コニーさん、早速、お客さんに感想など聞いて見ますと、

「意外に美味しいパンだな、コーヒーもまずまずだし、マーガリンもそこそこだし、値段を考えれば文句はないな……」 


 概ね好評ですが、要望を聞きますと、モーニングとして考えるなら、サラダがチョイスしたい。

 そうすれば、コンチネンタルブレックファストとなる。


 またランチとして考えるなら、せめてホットドッグのように、何かを挟めないか。

 またディナータイムに取る場合、もう少し豪華にはならないか。

 そのほかにも、何か甘いものがほしいと、いうのもありました。


 その日の閉店後、コニーさんは残業していました。

 ……まずサラダね、確かに必要よね、サラダのない食事なんて想像出来ないわ!美容に悪いのよ!


 でもね……現地調達すれば簡単だけど、それは後の話、今回はひとりぼっちのステーションでも提供できる、サラダが必要のはず……


「ねえトニ、物資補給担当部が取り扱うもので、備蓄している食料物資のリストって、私にも開示出来る?」

 出来るとの返事なので、見せてもらっているコニー。


 ……乾燥キャベツや乾燥レタス、なになに、ニライカナイカフェ用?

 ニライカナイカフェって知らないけど、これは使えるわ。

 えっ、レイルロード全域を対象とすると、使用不可?


 なるほど、聞き方が悪かったわ、レイルロード全域を対象とする、コッペハウスで取り扱える、備蓄食料物資のリストを見せてもらわなければ……


 ……いろいあるわね……ん、ラタトゥイユの缶詰?

 これってパンに合うじゃないの、よく見れば、使えそうな缶詰があるわよ。


 肉はテラの南米のスパムの缶詰があるわ、あっ、ヴィーンゴールヴのコンビーフの缶詰がある。

 えっ、丸型なの?初めて見るわ。


 あとは魚ね……マルスのサーモンの缶詰……でも高いわ、これでは使えないわ……やはり直に作らなければ、無理なのよね……


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