天覧試合


 第一クォーター、クイーンマーガレットのセンターがパスをおこない試合が始まりました。


 速攻でウィングアタックにパスすると見せかけ、ウィングディフェンスにパスを出します。


 虚を突かれたベティは、ウィングディフェンスからのゴールシューターへのロングパスを通され、ゴール下でベティのゴールディフェンスがオブスタラクション、つまりボールを持った相手の足元90センチ以内に入って守備してはいけないという、反則を犯してしまったのです。


 ベティのゴールディフェンスは、ケイシーだったのですけどね。

 まずクイーンマーガレットにポイントが入ってしまいました。


 第一クォーターはクイーンマーガレットの試合の巧さに翻弄され、結構リードされてしまい、クォータータイムを迎えたのです。


「相手はうまいわ、さすがに前回優勝校、でも相手の点の取り方がわかったわ、春のリーグ戦では温存していたのでしょう」

「相手のウィングディフェンスに注意して、ロングパスをさせてはいけないわ」


 第二クォーター、ベティのウィングアタックは、反則に注意しながら、クイーンマーガレットのウィングディフェンスを徹底的にマークします。

 かならず、ボールとウィングディフェンスの間に入るのです。

 他の控え選手が、その位置取りが出来るように、指示をしています。


 ゴールディフェンスのケイシーは、クイーンマーガレットの新戦力として、春のリーグ戦で大活躍した相手の、ゴールアタックを徹底的にマークします。


 幾度もケイシーはパスカットを成功させ、相手のお株を奪うようなロングパスを通し、点差をかなり縮めることに成功させたのです。


 第二クォーターが終わり、申し合わせでハーフタイムは十分。


「ケイシー!同点よ!追いついたわ!」

「これからよ!バスケットはアメリカのものよ、当然ネットボールのクィーンは、ベティがなるべきなのよ、この勢いで逆転よ!」


 第三クォーター、クイーンマーガレットの新戦力が真価を発揮、小柄のケイシーを高さで翻弄、そのおかげで、再びわずかながらベティはリードを許して終わったのです。


「なんとしても、相手のゴールアタックを封じて見せる!皆はできる限り攻めて!」


 最終クォーター、ベティは怒濤の攻撃を見せます。

 フェイントを多用して、反則ぎりぎりの短いパスを通し加点していきます。

 点を取ったり取られたりしながら、徐々に追い上げ、終了間際に、ついに同点に追いついたのです。

 

 そして、クイーンマーガレットの捨て身の攻撃の中、ケイシーはパスカットを成功させ、時間ぎりぎりにベティはゴールポストを揺らしたのです。


 ベティの応援席からは大歓声、それをかき消すようなクイーンマーガレットの応援席からのため息……


「勝った!」と、アリシアさんが走ってきました。

 

「よくやったわ!天覧試合によく勝ってくれました!とりあえずは祝勝会をしましょう!」

 アリシアさん、どうやらポケットマネーで、カナダ地区のランス・オ・メドーの、最高級ホテルのレストランに招待してくれたのです。


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