ケイシー・ロッシチルドは決意した


 ベティは見る見る強くなって、いよいよ試合当日。

 アリシアさんが観戦にやってきて、

「今年はアナスタシア様はいないわ!クイーンマーガレットに勝ってね!アメリカの女は強くて美しいのよ!」


 試合が始まります、勝つはずのつもりが、クイーンマーガレットの新加入の選手が強いのです。

 高女時代にバスケットで、全国試合に出ていたとか……

「女専課程への編入生?スポーツ特待生なんてないでしょうね!」


 試合は拮抗していたのですが……

 負けてしまったのです。


「アリシア様、申し訳ありません……」

「仕方ないわよ、相手が強かったのですから……とにかくこの後全勝して、秋のトーナメントに進出してね、出来たら勝ってほしいわね……」


 寂しそうなアリシアさんでした。


 ベティはこの後、何とか踏ん張って二位にすべこみ、秋のトーナメント出場を果たしたのです。


 ……何とか二位になったけど、戦力アップは望めない、このままではクイーンマーガレットにまた負けるわ……

 新戦力が必要なのだけど……こうなったら、私ががんばるしかないわ!


 ケイシー・ロッシチルドは決意したのです。

 自分がネットボールに出場して、勝ってみせる!


 以来、放課後の二時間、夜のメイド任官課程の特別授業が終わった後の一時間、一人もくもくと、結構ハードに練習するケイシー。


 やはり幼少時より鍛えたおかげが、敏捷さとスタミナはかなりのものですが、ケイシーの値打ちは、目的に向かってのめりこむことが出来る、その集中力なのです。


 そんなケイシーの姿に刺激を受けたのか、選抜されたネットボールの選手たちが、一人、また一人と一緒に練習をするようになり、


 クイーンマーガレットに勝ちましょう!

 ネットボールはアメリカのものなのよ!


 などというスローガンが、ベティの中での目標となっていきます。


 チームの力は、努力の汗の量と比例するようで、チームの組織力という点では、クイーンマーガレットを凌駕するのではと、思えるようになったのが夏の終わり、秋のトーナメント戦にチーム力アップは間に合ったのです。


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