クイーン・ビーの初仕事
八年制高女はすべて四月入学です。
ベティ女子スクールもそれに習っています。
アメリカの九月入学とは違います。
ベティのほうが早い、そのためか、マルスのアメリカ地区の少女たちは、ダメもとで試験を受け、毎年大変な騒動となるのです。
ベティは一クラス二十名で学年二クラス、つまり定員四十名で、そのうちの十名内外がメイド任官課程、付属小学校からの進級がロリータ課程五名、一般課程が十名、つまり、新規に募集するのはメイド任官課程が五名、一般課程が二十名、きわめて少ないのです。
女専課程になると編入が一クラス増える、その二十名の内、五名内外がメイド任官課程、これはおおむねマルスにある八年制高女共通です。
一般課程からの管理官府などへの就職は推薦制です。
八年制高女は、一部の例外を除いて、どこでもメイド任官は十五名内外、管理官府などネットワーク採用は四十五名内外、併せて六十名と決まっているのです。
つまり希望すれば全員就職できるわけです、ネットワークは直轄惑星から事務職を採用するわけですから、慢性的に人員不足、足りない分は奨学生を募集するわけです。
ベティは少数精鋭の全寮制、全て無料で、聡明で魅力的な婦人で、沈着冷静なリーダーを育てることを目的としているのです。
メイド任官課程はその上に夜学として、『メイド心得』があり、徹底的にしごかれるのですけどね。
クイーン・ビーの最初の仕事は、この入学式で歓迎の言葉を述べる事なのです。
「皆さまをこうして迎えられたことを、嬉しく思っています」
「ご承知とは思いますが、このベティ女子スクールは実業学校です」
「メイド任官課程は当然ですが、一般課程といえど、卒業すれば、ヴィーナスネットワークの管理官府や関連組織に就職することができます」
「したがってよく学んでください、ベティに入学したということは、皆さまは学業において、脱落などありえないと信じております」
「また当校は、他のアメリカのハイスクールとは違います」
「ここにはフットボールはありません、当然ですね、男の子は門をくぐれませんから、そのためかチアリーダーもありません」
「しかしベティの生徒である以上は、自らの健康に気を使ってください」
「一歩校外にでれば、ベティの生徒は注目されます、身だしなみ、立ち振る舞いには、内面が出るものです」
「いつも見られていることを、知っておいてください」
「最後に在校生一同、心より歓迎いたします、皆さま、このベティ女子スクールにようこそ」
ケイシー・ロッシチルドは、クイーン・ビーとしての初仕事を、なんとか無難にこなしました。
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