プロローグ
男の上から離れ立ち上がる。軽く息を整えながら、隅に蹴り飛ばしたナイフへ歩み寄ってハンカチでそれを掴んだ。
「犯人が所持していたものです」
「そうか。もうすぐ鑑識が来るはずだ。渡してやれ」
頷いてから、わたしは気になっていたことを聞いてみた。
「そういえば、ずいぶんとここに着くのが早かったようでしたけど?」
そう告げると、渋谷さんは得意そうに笑みを浮かべてみせた。
「すぐ近くに待機していた。お前が一人で行動したと聞いたもんでな、万が一ってこともあるだろうと判断したんだ」
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