プロローグ
「もうすぐ他の警察がここに来る。諦めておとなしくしててよ。その方がわたしも楽だからさ」
子供の泣き声はまだ止まない。いったい、いつまで泣くのだろう。
ずっと遠くでサイレンの音が聞こえてきた。連絡を受けた仲間がここへ向かっている。
「ずいぶん早いわね」
署からここまでは、どんなに急いでも十五分はかかる。それなのに音が聞こえる。
連絡を入れてからまだ五分も経ってないというのに、どういうことだろうか。
サイレンはすぐ近くまで来ると唐突に止まった。
野太い中年男性の声と、数人の足音が耳に入った。
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