第20話無意味なこと③

「そっか・・・じゃあ、加害者の人は子供を探して焦って事故を起こしてしまったってこと?」

「さあ、そこまでは分かりませんでした。その女の人には、それ以降会えなかったので。

・・・でも、もし、それが原因なら私より数倍ツライ思いをしていると思うんです。

夫は事故で死んで、子供は行方不明、賠償金を返しながら生活していくなんて。

だから、加害者の人も何か事情があったって分かってから、恨んでいた気持ちは間違ってると言うか・・・なんて言えばいいのか・・・」

「・・・無念とか?」

「そうですかね。それからしばらく、考えたんですどうしたらこの思いが晴れるのか、どこにぶつければいいのか・・・それで、もし私と同じ様な状況に立たされている人達を助けたらこの無念な気持ちも無くなるのかなって・・・どうしたら助けられるかなって考えたら、弁護士になってこの能力を使えば、その人の状況も知れる本当に無実なのか、有罪なのかも・・・それで、もし無実の人を救えばこの思いも晴れる・・・それならずっと、うつむいて心を閉ざしていてもダメだと思って・・・私自身を変えていったんです、誰でも心を開いて話せるように、そしたら能力も元に戻りました」

そうなのか・・・心を開くことでまた、能力が使えるようになったのか。だれかに心を開くか・・・

「そっか・・・法学部なのも、弁護士の資格を取るため勉強してるってことか。」

「そうですね。無意味なだと思っていたお母さんの死も弁護士を目指すきっかけになった。今につながってるんです。

・・・だから、無意味なんて言わないで頑張りましょう!トレーニング!きっと何か意味がありますよ」

「そうかな・・・どっちにしても今はここから出ないと」

「たしかにそうですね」

どちらにせよ、このままいれば僕と彼女がどう処分されるか分からない。最悪、大学を退学になるかも

この能力が使えれば、この状況を変えられるかもしれない・・・彼女のために

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

また、ゲーセン跡地で 吉田 九郎 @bloodbone

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ