第17話校舎内で

小学校の校舎は3階建てで横に長い普通の小学校だ。両端に階段があり、今入ってきた扉の近くに職員室がある。さらに、1階に1,2年生の教室、2階に3,4年の教室……と高学年になればなるほど教室も高くなっていく。久々に訪れるが一見すると、卒業してから何も変わらない様子だった。

しかし、夜の校舎の中は何とも不気味だ。決して、幽霊を信じているわけではないが物陰からなにか出てきてもおかしくない雰囲気が漂っている。


「あれ~もしかして怖いですか?表情硬いですよ」

彼女は歩きながらスマートフォンのライトで下から顔を照らして尋ねてきた。驚かせるつもりだったのか?

「べ、別に……怖くないよ、ただ暗い校舎は不気味だなと思っただけ。でも、懐かしいよ

そこの窓、この季節カメムシが大量に湧いて……」

「はぁ、なんか、加藤さんって悲しい人ですね、どう言う小学生だったんですか?」

「どうって普通の小学校だったけど?休みの時間は外の山に探検しに行ったし、友達と秘密基地も作ったよ」

「そうですか、なんか意外ですね。今の、加藤さんなら図書室にこもってそうですけど」

「失礼だな!そう言う自分はどうなんだ?」

「私は、大人しい子でしたよ、成績も優秀でしたし!」

「…………噓だな」

「ホントですよ!ホント!嘘なんかつく必要ないでしょ……ん?加藤さんのスマホ鳴ってませんか?」

「鳴ってないけど?」

「おかしいですね?さっきからどこか、音が聞こえるんですけど……」

耳を澄ましてみると確かに着信音のような音がしていることに気づいた。彼女のスマホは鳴っていないようだし。

まさか……ポルターガイスト!いや、こっくりさんとかか!

「上の階から聞こえてくるよね……よし、怖いからもう帰ろう!」

「やっぱり、怖がってるじゃないですか?確認するまで帰りませんからね~」

「一人で確認すればいいだろ!もう、僕は帰る!」

「どんなけ、怖がってるんですか?もう!まってください、少し確認しますから」

すると、彼女は階段を駆け上がってしまった!

「……まってくれ!一人にしないでくれよ」

仕方なく彼女についていくことにした。


結局、彼女を必死になって追いかけ、3階の廊下で鳴り続けていることがわかった。そして彼女がそのスマホを拾った。

「やっぱり、誰かが置き忘れたスマホが鳴ってるだけでしたよ。加藤さん」

「よかった。その人騒がせなスマホは、誰の?警備員の?」

スマホに直接触っている彼女なら、持ち主が分かるだろう。

「違いますね。この小学校の職員が落としてそのままです。ずっと鳴り続けてますけど出てみますか?」

「ここに忍び込んでることがばれるだろ!」

「ハハハ、冗談ですよ、冗談~。加藤さん、思ってたのより、面白いですね。普段は何考えてるのかわからないから、今日だけで色々知れた気がします。そろそろ、出ますか?グランドで話ししたいことあるんですよね?」

「そう…でも、そのスマホはその場所に置いといてよ」

「は~い」

彼女はそう返事をするとそのスマホをその場に、置いた。


その後、長い階段を降り開いている扉に向かう。

しかし、開いているはずの扉は閉じていた。

「加藤さん、扉、閉まってません?誰か来たんですかね?」

「さあ。もしかして、閉じ込められた?」

「確認しに行きましょう」

扉の前まで行き確認するとどうやら鍵がかかっているようだった。

さらに、彼女が扉に触りながら、「警備員さんが、私たちがスマホを探し回ってる時に鍵かけたみたいです…」と言った。

……どうやら、完全に閉じ込められたようだ。



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