第16話潜入開始!③

「はあ~やっと着いたこれが加藤さんの出身校の小学校ですか……こんなに‥大変だとは」

……そんなに疲れていないし大変でもない、登山じゃあるまいし。彼女の顔を見ると相当疲れているようだが。

あれから、この急坂を途中、階段をはさみながら30分以上かけて小学校の校門にまでたどり着くことができた。

「これから本当に忍び込むの?」と一応、彼女に尋ねる。


「当たり前じゃないですか!こんな大変な思いして無駄足で帰れますか!ほら、加藤さん校門に触って警備員がいつ来るか未来を見てください」


日々のイメージトレーニングの練習でも出来たことがないのに出来るはずがないが一応、触ってみる。

「…………何も見えないよ」


彼女がため息をして「トレーニングを続けているから、できると思うのですが、仕方ないですね。私が過去の記憶を見て大体何時ごろに見回りするのかみます」と言って校門に触れた。

「私が来る1時間前に見回りは終わってますね。忍び込んでも大丈夫そうですよ」

「でも………見つかったら」


すると、僕が話終わる前より先に校門を登って越えた。

「グズグズしないください~もとは、加藤さんが小学校がいいって言ったからですからねぇ」

こちらを見ながら早く来いと言わんばかりの視線をおくってくる。


まったく、無許可で入ろうと言い出したのは彼女のはずだが、このまま彼女を一人にしておくわけにもいかないので、仕方なく校門をよじ登った。


「早く案内してください。加藤さんの思い出の場所ですよね?」

「そんなに、いい思い出ではないけどね…グランドに行こうか」

「行きましょう!」


今日の夜は暗いのでスマートフォンのライトで照らしながら校舎を抜けてグランドに向かう途中、突然、彼女が足を止めた。

「こわ、みてください、あそこ、校舎の扉、開いてませんか?」

彼女が指す方を見てみると確かに扉が開いている。

「ほんとだ、……他にだれかいるのかな」

彼女は「ちょっと、確認してきますね」と言い開いている扉に近づき触った。そうか、扉の過去の出来事を見て誰がいるのか見ているのか。

「大丈夫ですね。警備員の人が忘れているだけで誰もいません」

「よかった~、じゃあ、ささっと、グランドに……」

「校舎入ってみませんか、こんな偶然ないですし!それに何かいい思い出を思い出すかも」

……なにをいっているのか?思えば、さっきから彼女に振り回されてばかりだ。

「行きたくないよ、もし警備員が戻ってきて閉じ込められたら面倒だし」

「少し間だけですから大丈夫ですって、さあ、いきますよ!」

そう言うと彼女に手を無理やり引っ張られて校舎の中に入った。

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