第4話始まりの日③

バイト先から歩いて5分、ゲーセン跡地。10年前までは、近所の子供たちや、なぜか毎日いる若者が通っていた。当時、中学生だった僕も少しだけ足を運んだ。

しかし、突然潰れてしまった。

突然の事で以来、何故かつぶれたのか、いろんな噂話が耳に入ってきた。2階で薬物を売っていただとか、殺人事件があっただとか。

噂話のおかげか、そもそもそれ以前に今は、ボロボロになった建物は不気味で誰も近寄りたくない。

正直、僕も近寄りたくないが仕方ない。しかし、ここならば、しばらくどころか半年間誰も入ってこない。

「ここなんか、お化け屋敷で近寄りたくないですけど」

「しょうがない、このあたりだと、ここくらいしか2人だけで話す場所はないから」

「まあ、いいです、次からはもっと明るい場所探してください。それより先輩、未来を見る能力をもってますよね?!」

また、彼女に心を読まれているようだ。正直、不気味だ。

「なんで、さっきから名前すら教えてないに知ってるの?能力のことも」

彼女は、ハッとした顔をして一度、落ち着いてから話はじめた。

「ごめんなさい、興奮して。まず私から、名乗るべきでした。

私は田中泉です。私も先輩と同じ能力者です。他人の過去を覗くことができて先輩の過去を覗かせてもらって能力のこと知りました」

過去を覗く能力をもっている?能力者は俺一人だけだと思っていた。まさか、他にいるなんて!

「驚いた…じゃあ、自己紹介しなくてもいいかな?」

「そうですね!加藤十郎さんですよね?ずっと、私一人だけだと思ってたのでついつい興奮しちゃいました。なんでも聞いてくださいね」

それから、しばらくお互いのことを話合った。

彼女は、地域でも有名な国公立大学の法学部の2年であったこと。

彼女の話によると僕と同じく他人に直接触ることで過去を覗くことが出来き、中学生の頃から能力自体の訓練をして人だけでなくモノの過去も見える様になったことを知った。

さらに、人やモノ過去の記憶から感情を感じことを目標にトレーニングを続けているらしい。

僕からは、未来を見る能力がどんなものかの説明をしてあげた。

だが、僕の説明が下手なせいなのか、彼女の方が理解力に欠けているのか分からないが「よく分からないです」と言われてしまった。

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