第3話始まりの日②
それからしばらく、いつも通りキッチンの仕事をこなしていく。彼女、ホールで仕事を任されていたため直接話すようなことは、なかったが気になって仕方ない。
何事もなかったかのように、振舞っているつもりだが、まだ少し、動揺していて調理の仕事に集中できない。そんな中でなんとか、休憩の時間まで頑張った。
彼女に話かけようか?
しかし、今まで、バイト仲間に自分から話しかけたことはない。
ほかの人に不自然に思われるか、気があると思われるのが嫌だったのでそのまま挨拶をして外に出ようとした。
「待ってください!加藤さん聞きたいことがあるんです。」
彼女に呼び止められた。どうやら、同じ休憩時間だったらしい。
そもそも、名前を名乗っていないのにどうして僕の苗字を知っているのか?
どの様に返事したらいいのか分からなかったので、とぼけることにした。
「もしかして、妹の友達?あんまり、友達のこと知らないだよねー。ごめん」
もちろん、僕に妹などいない。いたら、よかったのに
「妹?先輩、妹さんいませんよね?私が話したいのは、私たちの能力のことですよ。分かってますよね?」
「分かったよ、話を聞くから、場所を移動しようか?」
「はい!」
何故か、彼女は嬉しそうな顔をしていた。
まず、彼女が嘘を見抜いたことに驚きだが、能力のことを他の人もいるのに隠すつもりもないことに驚いた。
他人にこの能力のことを知られるとロクなことが起きない。絶対に。ギャンブルに使われたり、犯罪につながる未来もあった。最悪、死ぬこともある。
だから、今まで隠してきたのに!ひとまず、人がしばらくいない場所に移動することにした。
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