9話:勝利をキミに、サヨナラをキミに
「ヴ、ヴァッ、馬鹿なッッッ!!」
俺の、いや、ドグラマグラの
その
ガハッ――
――
返ってきた、意識が。
奴の
体が軽い!
正面に据えたドグラマグラは
権能を破られるのは、肉体的なダメージとは異なる精神的ショックを被る。
終わりだ!
――
ザシュッ、ザスッ、スパッ、スパパパッ、ドシュゥーッ――
一之太刀を猛烈な速度で
魔王の肉体と
「――つ、強い、な……ゆ、勇者」
「まだ、
俺のエクス・エレクチオンは
それをこれだけ食らって、まだ、意識を
「……き、貴様の名は――」
「――
振り
今、
その
「――貴様の勝ちだ、
だが、余の
「……――ああ」
――沈黙。
完全に魔王の意識は消えた。
また会うなんて
だが、それを
それが――
――強敵だったモノへの敬意。
さあ、そろそろ5
あいつを、
勝利の女神を――
―――――
「す、すっごーい!
「倒せもしないのに魔王討伐に挑む者など
斬り刻まれた魔王が転がる。
本当にドグラマグラが
だというのに、けろっとした表情で
過去、99もの異世界を攻略済みな訳だから、
「魔王を倒した事実を世界中に
「――どうでもいい」
「あのね~、風雅にとってはどうでもいい事かも知れないけど、この世界の人々にとっては凄く重要な事なの! それに、魔王を倒した勇者を祝福するってのも必要な事よ」
「
世界には
その英雄がどこの誰なのか不明の
その為に英雄信仰が
これが、あたし
魔王の発見から勇者の召喚
普通、冒険を通して魔王討伐に関わっている者、勇者ってのは人知れず、その
だからこそ、伝えなきゃいけないのよ!
「ダメ! 魔王ドグラマグラを誰が倒したのか、ってのを伝える必要があるの! それに、その勇者を召喚したのが“あたし”ってのも明確にしておかないと」
「――好きにしろ。俺は、元の世界に
「まだダメだって、帰っちゃ! 勇者は世界の人々の
「俺は人々の為に魔王を倒す訳じゃない。俺の為。全ては俺の為。
なんて自分勝手なの!
まぁ? 勝手に呼んだのはあたしの方なんだけどさ。
でもさ? あんたを指定して召喚した訳じゃないし。指定なんて出来ないし。
だから、これは“運命”なの!
「俺の為ってさ~? 一体、なんの為なのよ?」
「俺は“
聖召石?
なんで、勇者が聖召石を?
女神を、神を召喚したい、って事?
なにを
「
「――いや、帰れる」
「えっ?」
「キミを
「えッ!? ウソっ!」
あれって、ドコかに謎の空間を作って、そこに匿ってた訳じゃないの?
瞬間移動、って事? 異世界や別世界にも移動出来るの?
でも、だとしたら、なんで聖召石なんか集めてんのよ!
どこにでも移動可能なんだとしたら、聖召石使って召喚する必要なんてないじゃない。
「もう、
「ちょっ! なに云ってんのよ!」
「さよなら、ラヴ。キミがいなければドグラマグラを斃す事はできなかっただろう」
「……なによ――」
――あたし、なにもしてないのに。
それどころか、魔王との決戦の時、
「――バイバイ、ラヴ」
「――……バイバイ、風雅……」
――云わされた。
あたしはまだ、別れたくないのに。
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