勧誘?

 その部室の机には小型のライトが付いた黄色いヘルメットが複数置いてあった。



 ――「モフくんは部活何処か入った?」


「入っていませんよ。帰宅部です」


「あれ?うちの学校は、部活には必ず入らないといけないだけどなぁ」


「あ…あ俺転校生だというのに影薄いからスルーされてるみたいで…このままやり過ごそうかと…」


「だめだよっ!規則は規則だから!」


“ だめなものは、だめなのです”みたいな?


だめな理由を言え!


 なんか封建社会維持の思考停止な思想教育みたいな常套句だが、彼女が言うと嫌悪感を感じなかった。


 急に大きな声出さないでね。心臓に悪い。


 憐花さんは真面目だった。俺のまだ14年の人生の中で一つ格言がある。“他者に欲求が多い奴ほど動かない”彼女はそれには当てはまらない、人に厳しいが自分には、もっと厳しい真面目っ子だ。


「なんか楽な運動部系じゃないのないですか?音楽鑑賞部とかないですかね?」


「この学校にはないわよ…」


「私掛け持ちしている文化部があるんだけど来て見る?」


 その時気づくべきだったのだ。何故気づかない!俺!奴らのやり方、常套手段ではないか。


 部室は視聴覚準備室で、一階の体育館への渡り廊下の前の部屋だ。だからなのだろう体育館から運動部の掛け声が聞こえてくる。


「失礼します…あれ?」


「今日はみんな外に出てるわ」


「文化部なのに課外活動してるんですか?」


「ようこそ防災訓練部へ!」


「は?」


(なにその可笑しな部活…)


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