謝罪会見

 ――やっちまった。


 放課後の教室一人きりで机に突っ伏していた。

 上部だけの軽い会話だけしていればいいんだ。そうすれば他者を傷付ける事もない。何故あんなに向きになったのだろう。彼女の事が好きだから?俺が?…違うな。顔が可愛いイコール好きなんて小学生じゃないのだからそれに俺は彼女の事を美人でお料理好き女子であり、頼りになる姉さんとしか認識していないいや…他にもあった。彼女は誰にでも隔たりなく優しい…。


 そんな優しい彼女を傷付けた事を考えれば、考えるほど憂鬱になる。


「むぅ…」


ガラガラガラ、レールを戸車が走った。


「どうしたの?帰らないの?」


ジャージ姿の彼女。バドミントン部なのだ。

部活が終わったのであろう。


「え?あ…あ。!ご免なさい!」


「急にどうしたの?」


 神谷 憐花かみや れんかが俺の顔を覗き込む。


「この間は本当にごめん」


「私に謝ってるんだよね」


「うん…」


 教室には、二人しかいない。


「それじゃ何故、机に謝っているの?」


 彼女はくすっと笑ったがすぐに


「私の顔を見て」


恐る恐る顔を上げ


つかつかと教壇向かい、教卓の前に立つと深々と頭を垂れ。


「この度は…不快な思いをさせてしまい…ご免なさい!」


「宜しい」


「でも言葉だけの謝罪じゃ誠意がないわ」


彼女は、いたずらぽく言うと。


「なら今度私の家に来てね」

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