世界からの消滅

誰もいない通りを歩くと

その時間だけ

僕は世界から

消滅している

誰にも観測されない

奈落の中の通りを

ただ歩いている


誰かが通りかかれば

短い時間の

二人だけの世界

すれ違う以外の可能性のない

ほんのひと時の

ランデヴー


誰もいなくなれば

やっぱり

僕は世界からいなくなり

僕の世界は

全くのゼロであるのと同時に

無限に広がっていく


誰も観測しない僕だけが観測する

自由に設定できる

刹那だけの

神様のいない世界


どこまで行っても

誰も来なければ

もしかしたら

本当の世界というのは

人が一人もいない

僕しかいない世界かも

そんなことを思うと

遠くに人影のようなものが

見えた

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