言葉を口にする病

僕は

ずっと口を閉じている

しかし

大半の人間は

そんなことが

そんな簡単なことが

できないらしい


一人でいても

言葉は口から

漏れている

その言葉を聞くたび

誰にも届かない

無駄な言葉に

うんざりする


誰もいないところへ向かって

まるで返事が来るかのように

話しかけて

それで何が得られる?

自分で自分に

語りかけているのか?

心の中で

そんなことは済ませられる


思っていることを

声にしないと

安心できないのか?

なぜ?

何が不安だ?

どこかに

何かに

脅迫されているのか?


静かな世界を

乱すことは

誰にでもできる

そもそも

世界とは

静かなのだ

生きている存在が

それを乱す


静かさに耐えられないという

愚かしい病

生きているという

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る