記憶から消えない一日

大きな悲劇の日を

人はどうやら

忘れないらしい

では

最高の喜びを

感じた瞬間は

忘れてしまうのか


念願が叶った日は

不思議と印象深くて

その日のその瞬間

自分がどこにいて

何をしていたか

良く思い出せる


それなのに

どうしても思い出せない

記念するべき瞬間も

ある

どうして

忘れてしまったのか

きっと

あまりに嬉しすぎて

実感が湧かなくて

ただ

ふわふわした心地で

自分の身に何が起こったか

自分が何をしたのか

そんなことが

まったく心に残らなかった


その日付もわからない

忘れられた一日から

全てが始まったのに


忘れられない日と

忘れた日

そうやって覚えていることも

幸運かもしれない

本当には

忘れていない

そういうことなんだろう

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る