枯れ枝の美学

天に伸びる

葉を落とした

何かの骨のような

細い枝に

生命というものが

はっきりと宿る

子供の手でも

たやすく手折られそうな

そんな枝でも

葉がなくとも

生命が

そこにある


そこにあるというだけで

どんなに細くても

頼りなくても

生きていることが

証明される

次の季節に

芽をつけることなんて

誰にも保証されていない

何も保証なんて

できないのに

あの枝はきっと

春に芽をつけ

夏にはいっぱいの

葉を茂らせるはず

そんなことを

確信させる

気配が

細い枝のどこかから

立ち上っていた

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