細い明かりこそ

何も見えない場所に

長い間

留まっていた

そんな世界に光が射した時

眩しさに

思わず目を閉じた


明かりが欲しかった

それはずっと

願い続けていた

最大の願望だった


なのにこうして

光が溢れれば

こちらから

瞼を閉じてしまう

光が欲しい

しかし強すぎる光

そんな光は

欲しくはないのか?


なんてわがまま

なんて傲慢

眩しかろうが

光の中に飛び込んで行けば

それで済んだはずなのに

それこそが願望なのに

結局

足がすくんで

動けない


強い明かりより

細い明かりの方が

この闇に慣れてしまった僕には

望みだった

視界を焼かない

ささやかな光

なにも暴かない

柔らかな光

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