倒れ込んだ日に見たもの

もう歩けない

もう動けない

そんなことをずっと考えながら

それでも

なんでもないふりをして

歩き続けた

耐え続けた

最後には少しの余裕もなくなり

倒れこむしかなかった


本当に動けない

倒れたまま

どうにか荒く呼吸をして

少しずつ

息を整えようとした

地面の感触

地に這っている自分

地面を舐めている自分

惨めだ

誰もが白けた目で

こちらを見て通り過ぎていく


ただ

地面に横たわっていると

せかせかと通り過ぎていく

多くの人の

無情さだけは

よくわかった


彼らの世界には

地べたを這う存在は

必要ない


僕は今

不必要な存在になった

そんな審判が

どこか心を楽にした気がした

不必要なら

何もしなくていい

何をしてもいい


立ち上がることなく

ただ僕は

力を抜いて

倒れ込んでいた

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