誰よりもそばにいる他人たち

ラジオを聞いていると

距離も時間も

何もなくなって

頭の中に

何人もの人が入り込んでいるような

そんな気分になる


喋っている

お笑い芸人

タレント

アイドル


聞いている

都会に住む人

地方に住む人

学生

社会人


全員が同じ電波を共有して

現実には存在しない

想像の上の一つの場で

笑ったり悩んだり

考えたり受け流したり

答えが出たり出なかったり

そんな具合で

何が手に入るわけでもないのに

決まった時間に

その場所に降りていく


いつの間にか

顔を知らないはずの誰かが

頭の中で動き出す

聞き馴染みのある名前の

想像の姿のあの人たち

向こうからは

どんな風に見えるだろう

本当の名前ではない名前を使う

一人のリスナーである

僕は

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