傷つける人間への供物

誰かを傷つけることに

必死になる人間がいる

周りの奴らは

知らん顔をして

他人のふりをする


誰も彼を導かない

ただ場所を与え

立場を与え

他人を傷つけるという

悪をそのまま

ただ囲っている


誰かが傷ついても

それはまるで供物のように

誰も省みない

痛みなんか気にするな

血が流れても

心が死んでも

気にするな

そういう人間もいる

社会なんだから

そんな言葉で

その場にいる以外に理由のない

無罪の誰かが

供物として捧げられ

やがては潰れて

崩れて

憎悪というものを学ぶ


正義をなせ

誰もが言う

しかし誰も

正義をなさない

傍観者のふりをしながら

都合のいい時に

都合のいい場所にいる

都合のいい人間を

祭壇に蹴り込む


叫びも聞かず

彼らは平然と

日常へ戻る


悲鳴が消えて

また供物が

選ばれる

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