知らなければ

生まれた時から

完璧な孤独の中にいれば

きっと

孤独は少しも怖くなかっただろう


誰かと誰かが

笑い合っている様子

理解し合っている様を見なければ

誰からも見向きもされない

理解されないことが

これほどの苦痛になっただろうか?

きっと

この苦痛はなかったはずだ


何も知らなければ

何とも接しなければ

自分だけで

全てが完結し

世界から

色という色

人という人

全てがなくなれば

やっと安心して

自分の

形だけの孤独と

形だけの苦悩や苦痛を

簡単に手放せたのに

笑って

突き放せたのに


この相対的な自己像が

なによりも僕を苦しめる

何者にもなれない

無力で

ただ自傷するだけの

存在

世界を直視できないのに

そっとそちらを見て

傷を広げるだけの

虚しい存在

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