立ってはいない

死を意識する

と聞かされると

崖の淵に立って

真っ暗な崖下を

覗き込んでいる

そんな様子を

想像するかも知らない


しかし実際には違う

足は崖の上にはない

足はもう

ブラブラと

暗闇の上を

揺れている

体は崖からぶら下がり

片手で

どうにか体を

支えている

それが

死を意識している

僕の形


一時的な

気の迷いで

死を意識しているわけでは

ない

すでに僕は死んでいるはずが

かろうじて

生きている

それだけのこと


誰も助けることのない

もはや死んだも同然の

半端者

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