差し引きゼロ

栄光なんてどこにもないのに

苦痛だけが押し寄せてくる

どこかの誰かが

何かを盗んでいる

こちらへ流れ込むはずの

幸福を掠め取っている

でも本当に?


何かの折に

幸運を感じる

誰かを出し抜いて

手にしたそれを前に

平然とした顔で

心の中では喝采をあげる

でもそれは

自分以外の誰かのものではないのか?


気づかぬうちに

幸不幸が釣り合って

差し引きゼロになる

手元に残っているものは

つまり自分にお似合いの

平凡な

どこにでもある

どっちつかずなんだ

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