呼吸

何があっても

乱れなかったはずの呼吸が

急に苦しくなる


頭の中にある

消し難い記憶に

喘いで

思わず口元を押さえても

ゴボゴボと息が漏れて

途端に苦しくなり

もう思考は消えた


必死に息を吸おうとしても

もう酸素はない

吸い込むものは

悪意だけで

体が内側から

黒く染まっていく


光を求めて

目を凝らして

影を体から吐き出そうと

強張った胸を意識する


それでも

周りから光は消え去って

残っているのは

真っ暗闇だけ

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