手応えのない勝利

競い合い

争う中で味わう負けは

とても苦くて

痛みを伴う


なのに勝利には

なんの味もない

勝った瞬間に

ふっと力が抜けて

それで終わり

もう次の勝負を考えて

手元に転がり込んだはずの勝利には

見向きもせずに

先ばかり見ている


こんなことでは

いつか

勝利の味を忘れて

苦しさだけになるんじゃないかと

不安になる


でもその不安も

あの体から力が抜ける瞬間だけは

何故か自然と

感じなくなる


勝つことだけが持っている

脱力の気配

もう良いんだと言ってもらえたような

あの安堵だけは

他の何事にも代え難い

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