どこにもいない

街には人があふれていて

その中には僕と同じ時に生まれた

そんな人もいるだろう


同じものに接して

同じことを聞いて

同じものを見た人が

確かにどこかにいるだろう


でも僕が見た場面

聞いた言葉

見た景色を

全く同じように意識した人は

一人もいない


そう思っていた

ある時までは


不意に理解した瞬間

そこに自分と同じ道を歩いた人がいて

同じものを同じように

摂取している


遠く離れていても

僕と同じ世界に

僕の鏡像のような別人がいたことが

どうしようもなく

嬉しかった

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