紅葉

赤い命に何かを見て

背筋が冷たくなりました


桃色の花が舞い散る雨に

焦りに心が慌てました


黄色い大輪に

晴れやかな希望になりながら

最後は夢から覚めました

形だけの明るさに

太陽なんか

見る気が失せてしまいました


庭の隅で咲いた

種を蒔いた覚えもない

名前も知らない小さな花は

青い色をポツポツと

控えめながらに

人に訴えたようでした


その花を見て人はただ

綺麗だなと言ったきり

もう見るのをやめました


葉が色づいては散るを見て

花が咲くには舞うを見て

黄色の大輪は衰えるのを見て


しかし庭先の花だけは

誰も終わりを

知りません

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る