怒りを忘れるな

激しいうねりが

心を突き動かし

体がひとりでに動く

止めることもできず

抑えることもできず

感情が加速する


濁って

混ざり合った感情の渦は

僕の肉体を塗り替えて

そこにいるのは

もう僕ではない

僕という器から溢れ出した

憎悪という

行き場のない奔流


終わってみれば

全てがバカバカしくて

僕の怒りの痕跡を

ただ眺めるだけ

何も僕の中には残っていなくて

奇妙なほどの空白を前に

僕はただ笑うだけ


でも誰かが言葉を残している

怒りを忘れるな

お前の怒りを忘れるな

その言葉を理解する時は

僕の中で怒りが沸騰する

その一瞬間前になる

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る