果実が熟れて
実りの季節も知らないまま
伸びた枝葉の隙間を縫って
咲いた花はやがて散り
秘かにその実は生まれます
何をすることもなく
光の中にいるだけで
流れが通って染み渡り
膨らみ
色づき
重くなる
いつの間にやら時が来て
甘い匂いの中にある
誰もが心を震わせて
もぎ取るその手は
誰の手か
誰ももがない高い場所で
崩れていく実があることを
あなたは知らないままでいる
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