試作詩集

和泉茉樹

あなたに捧げる最初の言葉として

終わりなんてない

誰かが口走って

みんなが一斉に走り出した


終わりなんてない

いつか言葉は遠くなって

みんながどこかへ消えた


終わりなんてない

自分に言い聞かせて

一人きりで走った


走れなくて

歩いて

それでも先へ進んだ

どこに何があるのか

誰も知らない

僕も知らない

でも歩き続けた


終わりなんてない

その言葉の擦り切れた反響だけが

僕を先へ進ませている


闇の中へ


光の輪郭がよく見える闇の中へ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る