小話2 コビトとキャラ付け

 「小4」と言うのは小学4年生の略称だが、中学生の時に危うくあだ名にされそうになり、断固阻止したことがある。小さいと何かと舐められがちだ。後輩にまで可愛いと言われてしまう始末で、少しは尊敬されてみたかった。枕詞に「小さくて」がついたとしても、可愛がられるのは得だとフォローされるなか、バレー部の友人には、「雪似子くらい小さいのは嫌だ」とバッサリと切り捨てられ傷ついた。好きで小さいんじゃないやい。私にとって「(小さくて)可愛い」は、褒め言葉として素直には受け取れないものだった。

 長女なのに、「お兄ちゃんかお姉ちゃんいるでしょう」という妹属性が付いてくることもあった。庇護欲が掻き立てられるらしく、「守ってあげたい」と言われたりもした。簡単に拐われてしまいそうで心配らしい。物理的にはトランクにも入るサイズだから、気をつけるに越したことはないと思う。親しい間柄になると、社交辞令は飛び越えて、容赦なく「小さいなー」と、小馬鹿にされた。その度に、「これから伸びるんだよ!」と虚勢を張っていたが、成長期が終わる頃には、「無理でしょ」と去なされた。高校生になり、にょきにょきと伸びる男子を尻目に、悲しいかな私の身長は中学生の頃から変わっていない。

 小柄な女性のイメージは大人にも当てはまるようで、社会人になってから知り合った人にはよく第一印象とちがうと言われた。基本的に私の性格はドライで達観している所があるので、ギャップがあるらしい。「もっと女の子らしい性格なのかと思った」と言われた。実際には運動部に所属していたけれど、「文化部っぽい」と言われるのも、見た目の印象かららしい。確かにスポーツは得意ではないが、溌剌とした小柄な女性ならまた話はちがったかもしれない。身長以外の印象も相まってさらに拍車をかけているようだった。

 余計な印象が先行しがちだが、「お酒が強くなさそう」、というイメージは飲み会の席で酒を勧められないので助かっている。下戸ではないが、酔う前に胃が一杯になるので加減がよくわからないのだ。そもそも、お酒を飲める年齢だと判断してもらえるかも怪しい。一人で飲むことはまずないので、近くに誰かしらはいる。店員は内心訝しむが、周りにいる人を見て安心材料としているように思う。飲み会の日に身分証は必携だ。

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