コビトの小話

雪似子

小話1 コビトと名は体を表す

 生まれてから今日まで、私の第一印象は、「小さい」の一言に尽きる。しかも旧姓は「小森(仮)」でまさに名は体を表すを地で行かなくてはならなかった。

 冗談抜きで、「小森(仮)」だから小さいの?」と、言われることもしばしばで、時には、「何で小さいの?」と、率直に訊かれた。そんなの私が知りたい。鋼の兄さんと違い、毎日のように牛乳は飲んでいたので牛乳と身長に関連性はないことは立証された。

 背の順はいつも一番前、前倣えの号令がかかれば両手を腰に当て、ピンと両腕を伸ばすことに憧れた。運動会の徒競走で走る様は回し車のハムスターの如く、ちょこまかしていた。

 

 その後、姓は変わったが私の身長は小さいままだ。私の身長が小さいのは「小」のつく名前故ではなかった。私がウサギやネコだったら「ドワーフ」や「マンチカン」と呼ばれてもてはやされたのに、成人女性の私は小さいなりに生きるしかないのであった。

 たられば話で、「もしも私の身長が170㎝以上あったなら」と言えば、「そんなの雪似子じゃない」、と否定される始末。私の小ささはアイデンティティになってしまったのだ。

 そんな私が小さいからこそ見舞われる出来事をこれから綴っていきたいと思う。

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