ほんと、この作品って良く出来てるんですよ。作者は人を笑わせるために、あの手この手でもって読者の腹筋を割りにきます。
特にシリアスとコメディの緩急がピカイチですね。商業作品でも、ここまでの完成度のものはなかなかお目にかかれないでしょう。
純粋な「コメディ小説」というジャンルはほぼ存在しないのですが、それは文字だけで人を笑わせるということがとても難しいからです。これは書いたことがある人にしかわからない感覚かもしれません。
……のはずなんですが、この『徒然ww』はめちゃくちゃ笑えます。鼻から牛乳吹き出しちゃいます。なので、公共の交通機関内で読むことはオススメしません。
この作品がその卓越したクオリティのわりに、そこまでカクヨムで読まれていないのは、作者がプロモーションなどをサボっているからでしょう。現に●ろうの方では、ジャンル別年間1位を獲ったこともあるそうで。納得。
このレビュー褒めちぎりすぎてうさんくさくない?と思った人は、試しに29話ほど読んでみて。そしたら読み終わってるので。
皆さんまず、作者名を見てください。
次に作品名を見てください。
もうお分かりですよね。そうこの作者、そしてこの作品、ぶっ飛んでます!!!
いやぁ、本当に笑いました。腹筋崩壊ですよ!
そして、笑えるのはもちろんなのですが、この作品、タイトル通りあの吉田兼好の超有名作品『徒然草』の現代訳パロディーなんです!
清少納言の『枕草子』、鴨長明の『方丈記』と合わせて日本三大随筆の一つと評価されているあの名作のパロディーなんですよ!!!
でも『徒然草』なんて、名前は知ってるけど内容なんてさっぱり分からないよ。というあなた。
安心してください。知らなくても十分楽しめます。そして『徒然草』って現代風にアレンジすると、こういうこと言ってるんだなぁって、大人の階段を一つ登れます。
星マークのついた話は下ネタ回ですが、卜部先生の心に響く名言も沢山あるのでそこも必見です!
と、ここで終わりかと思いきや、まだこの作品最大の魅力を伝えていません!
私個人としては、この作品の中に出てくる人物達を“登場人物”とか“キャラ”とは呼びたくありません。
それは彼ら、彼女らがこの作品の中で間違いなく“生きている”からです。
主人公である卜部先生や彼が勤務している吉田中学校の生徒のみんな。
思春期ならではの悩みにぶつかりながらも彼らが共に成長していく姿は、ヒューマンドラマの極みと言えるのではないだろうか。
笑って笑って、時には泣いて。
彼らと一緒に青春を謳歌してほしい。
間違いなく心に響く特別な作品です。
後悔させないので、是非一読くださいませ。