第27話 斬れ味

 ハイスケルトンウルフマンはオルムの斬撃を受け止めようと剣を構える。

 しかし、オルムの刀が魔物の剣を切り裂きそのまま魔物の腕を切り落とす。


「凄いな…鬼丸の斬れ味。」

 あまりの斬れ味にオルムは声をもらした。


 鬼丸は自慢気な顔をしている。


 レイヴンは鬼丸の顔を覗き込んだ。

「あっ!ドヤ顔ってやつだね!」


 レイヴンにツッコまれると鬼丸は顔を赤くし俯いた。


「アンタって本当、空気読まないわよね。」

 ヘルは呆れ顔でレイヴンを見上げた。


「アイツらもう仲良しかよ。」

 オルムは三人に目をやりながら微笑んだ。


 魔物はオルムの隙を見て右手を再生した。

「グルルルル…!」


「へぇ再生か。なら…。」

 オルムは魔物に再生能力があるのが分かると刀を鞘にしまった。


「解放。"裏一式 曼珠沙華(まんじゅしゃげ)"」

 刀を抜き放つとオルムの周りに無数の刃が浮かび上がる。


 剣先を魔物に向けると無数の刃はオルムの周りから魔物の周りに移動した。


 魔物は避けようと移動を繰り返しているが刃は魔物の周りを囲んだままついて回る。


「斬!」

 オルムが刀を振り抜くと、魔物の周りを囲んだ刃が魔物に向かい降り注いだ。


 みるみる魔物は傷だらけになっていく。

 再生をしようと魔力を集中させるが、追いつかずだんだんと朽ちていく。


 やがて魔物は魔力がつき身体は朽ち果てた。


 その姿を見届けたオルムが刀を鞘にしまうと、魔物の身体は灰になり土に還った。



「まだまだだな。もっとこの力を使いこなせるようにならないとな…。」

 オルムは自分の掌を見つめた。


 こうして意識を集中してるだけでも、今まで引き出せなかった力が溢れてくるのが感じられる。

(俺の本来の力か…。)


 ヘルはオルムを見つめ真面目な顔をしている。

「オルム。オルムの力が解放された事でオルムの魔力に引き寄せられるように溢れた魔力に魔物が集まってきてる。早くその力をコントロール出来るようにならないと大変よ?」


「俺の魔力に集まってきてるのか?てっきり俺は信長が呼んだのかと…。」


「主殿。もし信長様が下僕を呼んだら、ここにいる何人かは死んでいますよ。」

 鬼丸は淡々と話し始めた。

「信長様は過去の英雄や、幻獣と呼ばれる神話の魔物を呼び出す事が出来ます。しかし、主殿の空想や神話の魔剣や聖剣を具現化し呼び出す力を使いこなせればきっと対抗出来るようになります。英雄や幻獣には必ずと言っていいほど、対になる武具があります。それを見極め召喚し、使役するのです。」


「先は長そうだな…。取り敢えずは力の漏れ出すのを抑えられるようにしないとな。じゃないと色々と面倒そうだ。」

 オルムは腕を組み考えこんだ。


「どうせ、考えてるフリでしょ?力を抑える方法なら、私の我流だけど教えて上げるわ。これでも暴走する堕天士の力を抑える事は出来てるから。」

 ヘルは呆れ顔でオルムに歩み寄り腰に手を当てて見せた。


「よろしく頼むよ。ヘル。」

 オルムは肩をすくめヘルに笑いかけた。






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