第26話 対峙
レイヴンはゴブリンスケルトンと対峙していた。
「なんだかハズレ引いたみたいだなぁ…。」
肩を落とし明らかにガッカリしている。
魔物はレイヴンの様子を気にもとめず手持ちの斧で斬り掛る。
「はぁ…。」
溜め息をつきながらも魔物の攻撃を簡単に避ける。
二撃、三撃と魔物は絶え間なく攻撃を仕掛けるがレイヴンは軽々とかわしていく。
レイヴンは無造作に大剣を魔物に叩きつける。
ドガン!
ゴブリンスケルトンはその場に崩れた。
「やっぱりハズレだったかぁ。」
大剣を担ぎ直すと他の仲間を見た。
鬼丸はスケルトンリザードと対峙していた。
魔物は素早く動きながら鬼丸に尻尾を叩きつけたり噛み付いたりしていた。
しかし、攻撃が鬼丸にあたる事は無かった。
魔物が尻尾を鬼丸目掛けて突き出すと尻尾は輪切りになり宙を舞った。
魔物は一気に鬼丸に距離を詰めると首元に噛み付いた。
が、魔物の口と鬼丸の首の間には刀が差し込まれていた。
「残念。」
鬼丸はそのまま刀を振り抜くとスケルトンリザードは真っ二つになり鬼丸の左右に別れ地面に落ちた。
「後は…。」
刀に付いた汚れを拭うと鬼丸はヘルを見た。
ヘルはオークリッチと対峙していた。
オークリッチは毒霧を撒き散らしている。
ヘルは怯むことなく魔物に歩み寄る。
オークリッチには知性が有るらしく、毒が効かないと分かると、酸の魔法をヘルに向けて放った。
避ける事もせずヘルは酸を浴びる。
「私を誰だと思っているの?この死者の森"ヘルヘイム"の王よ?アンデッドの放つ毒や腐食の魔法が私に効くと思うの?」
酸の煙の中からヘルの大鎌が魔物に振り下ろされる。
魔物は魔法壁を貼るがヘルはそのまま振り下ろした。
「そんな低魔力の魔法壁でこの"ナグルファル"が防げる訳ないじゃない。」
オークリッチは脳天から真っ二つに切り裂かれ、血の糸を引きながら左右に倒れた。
ヘルはオルムにピースをするが、我に返りすぐさま手を引っ込めうつむいた。
「皆余裕だな。」
オルムはヘルに微笑みかけ、手を振るレイヴンに手を振り返す。
鬼丸はオルムをじっと見つめていた。
「さて。じゃぁ俺もいい所を見せないとな!」
オルムが刀を鞘から抜き放ち軽く地面に振り抜くと
ズバンッ!
剣圧で地面が抉れた。
「えっ!?」
ヘルは驚きの声を上げ、レイヴンは何やら目を輝かせている。
「はっ…?」
一番びっくりしたのはオルムである。
「鬼丸の力なの?」
引きつった顔でオルムは鬼丸の方を向く。
鬼丸は首を横に振る。
「違いますよ。今まで主殿の力の蓋から復活な為の魔力を吸収していた信長様が居なくなった事で、主殿の本来の力が溢れ出して居るのです。これからの課題はその力を解放してコントロールする事ですね。」
口元を歪ませる鬼丸を見て紫淵と重なった。
「刀って皆こうなのかな…まぁやってみるか!」
オルムは苦笑しながら刀を構えハイスケルトンウルフマンに斬り掛った。
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