第25話 鬼丸国綱
「鬼丸国綱だったか?先に言っておくぞ。俺は紫淵を…村正を助けに行くつもりだ。邪魔をすると言うのなら…。」
オルムの目に殺気が籠る。
「御安心下さい主殿。私は既に貴方の刀。主殿に付き従い、この命捧げる覚悟は出来てます。私の事は"鬼丸"とお呼びください。」
鬼丸は再度深々と頭を下げた。
「信用していいんだな?」
オルムは鬼丸に念を押した。
「村正殿が信長様に連れていかれて、代わりに私を置いていかれました。いきなりそうなれば疑うのも仕方が無いこと。もし、私が邪魔になったり、不穏だと感じたなら即座に折って頂いて構いません。少しでも早く主殿に信用して頂けるように尽力致します。まずは…集まって来ている、魔物共の始末からですね。」
鬼丸は立ち上がると辺りを見渡した。
オルム達の周りを取り囲むように魔物の群れがジリジリと近ずいてきていた。
「流石に多いわね…。」
ヘルが大鎌を構える。
「でも、所詮は魔物でしょ?楽勝ですよね!オルム様~!」
レイヴンは黒い大剣をクルクル回している。
「主殿。これを。」
鬼丸はオルムに向き直ると一振の見事な刀を差し出した。
「その刀が私の本体。"鬼丸国綱"です。私達の世界では"天下五剣"の中の一振りと呼ばれていました。その名に恥じぬ斬れ味をお見せいたしましょう。」
鬼丸はオルムに刀を渡すと、魔物の群れに向き直り刀を抜いた。
「いざ参る!」
鬼丸が咆哮をあげると、魔物の群れも一斉に此方に向かってきた。
ヘルやレイヴンが斬り掛るよりも早く目の前の魔物達の首が飛ぶ。
首が飛び、地面に落ちると次々と断面から血が飛び散る。
雄叫びが聞こえ、血飛沫が上がると断末魔に変わる。
瞬く間に魔物達の数は減っていった。
「…凄い。これが鬼丸の力なの?」
ヘルは呆気にとられていた。
「流れる様に、まるで踊っているみたいだ…僕の重量じゃ真似できないかな…。」
レイヴンは鬼丸の動きに見とれていた。
すると魔物の断末魔が止んだ。
残りは数体の魔物達のボスらしき存在と、首の無い魔物達の死骸の中に立つ鬼丸の姿が見えた。
(一体はゴブリンスケルトンとスケルトンリザード、もう一体はオークリッチ、最後はハイスケルトンウルフマンか。全てアンデッド系…。)
オルムが鬼丸国綱を腰に下げ体制を整えていた。
「残りは丁度4体かぁ。1体でいいのかなぁ?それとも僕が全部片付けていいの?」
レイヴンは大剣を担ぎながら鬼丸に歩み寄る。
「私だってオルムにいい所を見せるんだから!」
ヘルも鬼丸に駆け寄る。
(ヘル。本音が漏れてるぞ。)
オルムは苦笑しながら三人に近ずいて行く。
「じゃぁ1人1体かな?」
それぞれが敵を見据えながら構える。
「では、参りましょう。」
四人は見据えた魔物に斬り掛る。
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