それぞれの卒業式

 靖ー

やっと、あいつらの顔を見ずにすむせいせいするぜ。3年間、あいつらのせいで地獄を見た。それでも、母さんや父さんのために死ぬのを堪えた。

いじめを、してたのを知ってたくせに。皆、見て見ぬふりを決めやがった。

先生さえも。俺は、社会人になってから絶対あいつらを見返してやる 


 芽夢

今日、ずっと好きだった勇に告白する。もしかしたらこれから先、気軽にメール送れなくなるかもしれない。でも、この想い隠し切れない。だって、好きすぎるから。その優し。笑顔。仕草。彼女になって、一人じめにしたいなんて贅沢?

そう、確率でいうと低い。きっと、勇にとって女友達の一人だから。


 明奈

今日、親友の芽夢と卒業式終わったら、それぞれの好きな人に告白しようって、約束した。芽夢は同級生の勇に、私は違うクラスの理仁に。高校生活、芽夢と一緒に馬鹿話やお互いの恋話で、盛り上がった。ありがとうね。芽夢。どっちかが、振られても恨みっこなしだよって、約束したね。でも、佐那人の熱い視線、芽夢以外みんな気が付いているんだよ。


 佐那人

俺は、芽夢が好きだ。でも、勇を好きなのをずっと知っている。だけど、この気持ちは止められない。それに、勇は俺の姉ちゃんと付き合っている。本当は、芽夢から遠ざけたかったから、わざと偶然を装ってきっかけをつくってやったのは俺だ。

可愛い芽夢。おれだけのものにしてやる。


 鏡花

今日の卒業式終わったら、長年の夢だった海外旅行をはじめる。

1年間、バイトに明け暮れた資金ギリギリまで、行ってこようと思う。

とは、言っても国内さえ一人で旅行したことない私。英語も、いつまで経っても上達しないし。

ただ、クラスメートのいじめを見て見ぬふりを決めこんだ、ヘタレな私。

こんな私を、変えたくて親の反対も押し切って行こうと決めた。


 健斗ー先生

やっと、今日という日が来た。俺のクラスで、いじめがあるという事実に気がついていた。首謀者が誰かということも。しかし、PTA会長でこの学校に貢献している父親がいるんじゃ誰も逆らえない。

わかってくれ。

ただ、自殺だけは食い止めたかったから監視だけは怠らなかった。

靖、お前も大人になったらわかるだろう。

社会の中でいきるということが。

この日を迎えることができて、先生は本当にうれしい。




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