17話 お助け

「のぞか!?」

俺はご飯を食べるのを、止める。


「どうしたの!?」

その瞬間、直ぐに何があったかを察する、

のぞか。


さすが俺のご主人だ。


俺は聞こえた方向に、直ぐに走る。


それに遅れて、のぞかも着いてくる。


「ジーノ、あっち!」

 目が良い、のぞかに教えてもらいながら、

湖を見る。


そこには子供が溺れている。


 湖の淵で釣りしてたのか。

それで、足を滑らせたらしい。


 今は流れもあって、

岸から5メートル位、流されている。


「助けて!」

 声は男の子のようだ。

その子の友人が慌てふためいている。


 無理もないよな。

俺は直ぐに飛び込もうとする。

でも・・

「待って!!」

のぞかが叫ぶ。


「え!?」

ブレーキをかける俺。


「どうしてだよ、のぞか?」

 俺が問いかけると、遅れて走ってきて、

横に来るのぞか。


 そのまま、右手に持っている何かを、投げる。

それは、光に反射するモノ。


(ペットボトルだ!)


 そうか、さっき、水が入ってた。

これを空っぽにすれば、

浮くって事か!


でも、のぞかの腕のハンデもあるんだろう。


飛距離が伸びずに落下していく。


「届いて!」

のぞかが祈るように言う。


その時、俺は飛ぶ。


そして、ペットボトルを


(ぽん!)

と蹴飛ばす。

その反動で岸に帰ってくる俺。


そして、ペットボトルは

男の子の目の前にポトリと落ちる。


 溺れる子供は

「あ!」

と言い必死に掴まった。


「よし!」

「やった!」

と俺達は、ハイタッチした。

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