8話 自然な主

俺はのぞかの家で水浴び中。


気持ちいい。

天国。

さっきとは世界が違う。


思う存分楽しんで、俺はバスルームを出る。


あ、ついいつもの癖で、濡れたまま床を歩いてしまった。


のぞかが居間のソファに腰かけながら、暖炉に当たっている。

そしてゆっくり、こちらを見る。


(あーあ、見られたか)


「気持ちよかったー?」

と明るく笑顔で、話しかけて俺に駆け寄る。


「おい、濡れてるぜ!?」

俺が慌てるも、のぞかは構わず俺を撫でる。


「え?怒んないの?」

頭を撫でられながらも俺は不思議すぎて首をかしげる。


こんなことあるわけない。

だって人間だぜ。しかも女の子。


絨毯も壁も水びたし。

そこのクローゼットの洋服、そこの有名な絵画も。

びちゃびちゃ。


被害額は数万円・・

とか、そんな話だぜ、

これは。


でも、のぞかは構わず俺をソファへと連れてく


「え!え??」

わけがわからない。


「今夜は冷えるからね。一緒に温まろ」

と言い俺を膝の上に抱える。


「あーあー、水が垂れてるぞ!」

思わず、のけぞって離れようとする。

その時、


「ダメ!!」

と、何故かこのタイミングで怒られる。


「はい」

俺は、素直に返事して、大人しくする。


(のぞか、不思議な人間だ)

俺は撫でられながら、そう感じていた。

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