4話 お揃いの
(のぞか、水美味しかったぜ)
俺はそれだけで十分だった。その後の事は何も期待してない。
拾わないでくれよ。
でも、その心配はなさそうだ。
っていうのも。俺は今泥だらけ、
しかも、よく見ると、
のぞかは、凄く高そうなコートを着てる。
汚れるだろうそれ。
拾われる心配はない・・か。
良かったな、と思いたい。
(え??)
その時、いきなり俺を抱き上げる、のぞか。
「なに??」
俺はびびった。
まさか、汚い泥がいっぱいついてんのに、抱き上げるとは。
「はじめまして、わんちゃん」
(ほら、コートに付いてるぜ、泥が!)
俺は心配する。
しかし、それよりも心配なのは、
のぞかは、何故か右手だけで俺を抱いている。
その不安定な姿勢、俺は成犬だし、当然その手が滑る。
「あっ・・」
俺を落とす、のぞか。
(おい!)
くるりと身を返して着地する。
「ご、ごめんね。わんちゃん」
もう一度屈んで抱き上げようとする、のぞか、再び右手だけで、
「お、おい、両手で持てよ!」
俺は不自然に抱き上げられる。
なんだ?左手に荷物でも、持ってるのか?
しかし暗くて見えない。
そのまま、不安定に俺を抱く。
「な、なんなんだよ?」
「もう大丈夫だよ、安心して・・」
そういう、のぞかの方が無理してて
大丈夫じゃなさそうだ。
「ったく・・」
俺は一旦くるりと回転してのぞかから離れる。
「あ、わんちゃん・・」
心配そうに言うのぞか。
「安心しな」
俺は着地して、横に付く。
「お利こうさんなんだね」
のぞかは嬉しそうに言い、俺を撫でた。
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