1話 -犬と人間と―  

「何回目だよここ」


 俺は捨てられた。

しかも前と同じ場所に。


 いい加減、笑えてしまう。

っていうか笑うしかない。


 辺りは真っ暗。

街灯の光も、俺にはあんまり意味がない。

視力が悪いんだ。


「まあいいや、暗いほうがよく眠れるし」

別に開き直ったわけじゃない。


喉が渇いて動けないんだ。


だから仕方なく、寝ることにする。


(なんか大分疲れた)

俺はゆっくり目を瞑る。


________________


「・・ぶ?・・うぶ?」

何か聞こえる。


「ね・・だいじょぶ??」


(なんだよ、眠いんだ)

 声が続いている。

どこかで聞いた、あの声。


「ねえ?大丈夫!?」


「うるせーな」

さすがに俺も、その声に目を覚ます。


(誰だよ、ったく)

匂いで感じようとするけど、わからない。

具合悪いからかな?

鼻が鈍ってるみたいだ。


 仕方なく顔を上げて、ぼやけた目で見ると、

そこにはやっぱり、


人が居た。

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