この犬小屋空いてます。

沢山そらい

プロローグ

 季節は冬、時刻は0:00を回る。

寒さは厳しく気温はマイナス3度。


 昼間降った雪が、更に凍って固くなり、冷たい風も吹いている。

 

 ここは夜の街の裏通り。

人気はなく、ぼんやりと街灯の光が届くだけ。


 その道の一角に汚れた、ダンボール箱が置いてある。


 中では何かが

(もぞもぞ)と動いている。

 

 それは黒い毛に覆われた、柴犬。


 四ツ目と言われる、目の上の、丸く小さい部分と、

鼻から下が白い毛で覆われ。

 足の部分も、まるで靴下を履いたように白い毛になっている。

耳は片方だけ途中から垂れ下がっている。


 体格は柴犬の成犬にしては少し小さくて、体重は約8キロほど。

少し痩せているようにも見える。


 顔や身体には、泥がついていて、茶色い霜のようになっている。

 

 黒柴は眠そうな顔をして、あくびをすると。

身体をブルブルっと震わせる。


 そして、周りをキョロキョロして、


「またここかよ」

と言った。

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